吸いつくようなしっとり感に惚れ込む「羊革」

「羊革」の持ち主、あのモコモコした羊ではない?

羊といえば、ふわふわとカールした毛を持つ姿を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実は、羊には大きく分けて2つの種類があります。

  1. 1.巻き毛の羊(ウールシープ)
    絵本やイラストなどでもおなじみのモコモコした形の羊は、羊毛や毛皮の採取を目的として品種改良された種類です。寒い地域で飼育されており、みっしりと生えた細い毛と多く蓄えられた皮下脂肪が特徴で、皮そのものをキレイに採取することは難しく、革製品をつくることにはあまり向きません。
  2. 2.直毛の羊(ヘアーシープ)
    一見ヤギと見まがってしまいそうな直毛の種類の羊もいます。食肉や採乳のために品種改良された羊で、温暖な地域もしくは熱帯地域で飼育されています。ウールシープよりも毛穴が細かく、皮下脂肪も少ないので、仕上がりの美しい皮を採ることができます。そのような理由から、羊革として加工される皮のほとんどは、このヘアーシープから採られたものとなっています。

羊の年齢によって、呼び名が変わる

羊革の中でも、その羊の年齢によって呼び名が変わります。

  1. 1.ラムスキン
    生後1年以内の羊の革です。生後半年以内のものはベビーラムスキンと呼ばれることもあります。まだ子羊である年齢のため毛穴が小さいので、シボ(加工によって作り出されるシワ模様)はきめ細かいものとなります。また、しっとりと吸いつくような肌触りもラムスキンの特徴です。デリケートな素材になりますが、その分柔らかく保温性にも優れています。子羊は採れる皮のサイズが小さいこと、食肉素材としても貴重なものであることから、ラムスキンも非常に高級な革として位置づけられています。
  2. 2.シープスキン
    生後1年以上の羊の革です。繊維が荒いため伸びやすく、柔らかいことが特徴です。なめらかな表面をよく見ると、気泡のような穴が点在していることがわかります。これは生前に脂肪を蓄えていた部分で、革内部にも残っています。鞣し加工されたことで脂肪が抜け、極小の穴に見えるのですが、空気を抱え込んで体温を保つ役割をしてくれるため、防寒度の高い革に仕上がります。

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羊革の魅力

羊革は薄く軽い素材に仕上がるため、コートや手袋などの衣類に活用されることが多いです。保温性が高く、独特の柔らかさと手触りのよさで、着心地のよい衣類を実現します。なめらかで気品のある革ですから、靴やバッグなどのデザイン性の問われる小物、本の表紙やソファカバーなどのインテリア用具にも好まれて取り入れられています。その一方でラムスキンはもちろん、シープスキンであっても、羊革は、革素材の中では比較的デリケートな素材となるため、取り扱いには注意が必要です。上質な羊革に一度触れてしまえば、「大切に着こなす一生物」にふさわしい上品さと繊細さ、肌に寄り添う心地よさに、夢中になってしまうかもしれません。

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羊革のお手入れ

革のお手入れとして欠かせない保革クリームですが、羊革に使う場合は、ラノリン入りのクリームをオススメします。ラノリンとは油脂の一種で、羊毛から採れた油脂を精製したもので、羊の皮脂の主成分でもあります。寒さや乾燥から羊毛を守っていた油脂は、保革クリームとしても保湿力、浸透力に優れています。また、羊革は他の革に比べてデリケートな傾向にあるため、汚れや水分が付着する前に防水スプレーなどで前もって保護対策をしてあげてください。日常のお手入れは乾いた柔らかい布とブラッシングで十分です。どうしても汚れが出てきた場合は、水分をしっかりと絞った布で拭くこともできますが、なるべく専用のスプレーでケアするなどして、刺激を与えることは避けたほうがいいでしょう。

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