メディアでも取り上げられる有楽町の有名パン屋さん"セントル　ザ・ベーカリー"の道路向かいにあるのが、1996年に靴職人山口千尋氏によって設立されたギルドの銀座店です。ギルドはハンドソーンウェルテッド製法の靴メーカーとして浅草に工房を構え、今では靴以外の革製品、鞄やベルト、財布などの小物も製作している有名ブランドです。1999年には靴専門学校"Guild welted footwear college(現サルワカ・フットウェア・カレッジ)"を設立し、手製靴の人材の育成にも取り組んでいます。代表の山口千尋氏は、1980年綾部トーヨーゴム株式会社に入社し靴の企画を担当し、1987年に渡英後、靴学校コードウェイナーズ・カレッジへ入学するのです。1990年の卒業後はシューズパターン1級資格を取得し、ロイヤル・ソサエティ・オブ・アカデミー賞を受賞した人物です。1991年には、日本人として初めてギルド・オブ・マスタークラフツメンの資格を授与されたすごいお人なんです。日本に帰国後独立デザイナーとして活動し、ドクターマーチンなどのデザインを担当するかたわら、1996年にギルドを設立しました。雑誌に数多く取り上げられたりNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」（2007年）、BS-i「超・人」といったテレビ番組に出演するなど、"日本のビスポーク靴の第一人者"として評価されています。

ギルド銀座店へは当日突然の訪問ということもありましたが、革好きのファンとして少しだけ撮影させていただきました。お店は外観から分かるようにトラディショナルな雰囲気が漂い、革好きのみならず通りすがる人も思わず覗いてしまうくらいのオーラを発していました。さすが超有名店だけあり、すでに知っている方からすると敷居が高い感じがしますね。店内に入るとまるで時間が止まったような独特の世界観があり、特筆すべきはスタッフの方々がジェントルであることです。製品の説明のみならず、靴磨きの実践が見れるなど、顧客の方はビスポーク・シューメーカーとの気持ちのよいお付き合いができる環境がそこにあるんだと実感しました。

ギルドの手製靴は、ミシンと漉き機以外の機械は使用していないそうです。工程のほとんどを手で一つ一つ仕上げているそうです。機械では表現しきれない細部まで手の行き届いた作業は、手作りならではの工芸的美しさを醸し出します。もちろん、その工程はビスポーク・シューズだけでは留まりません。レザーグッズも一つひとつ丹念に手作業で作り上げています。また。コンセプトが明確でなんとも美しいものばかりでした。小物はシンプルで使いやすいデザインの中に一工夫の機能があります。また、革の伸縮を利用して、別パーツで貼り合わせることなく独自のモールディング技術を用い1枚革で立体を表現するなど、革の特性を活かした作りも特徴的でした。

ギルド銀座店（ビスポークテーラー「i.d.e.m」との共同店舗）
住所 〒104-0061　東京都中央区銀座1-3-3　東亜ビル1F
TEL：03-3563-1192
営業時間：水〜金 12:00〜20:00 土、日、祝 11:00〜19:00
定休日：月、火(祝日も含む)　※月曜日はBespokeのご予約をいただいた場合のみ営業
駐車場 なし（近くに有料パーキングあり）