革そのものの味わいを楽しめるヌメ革。財布や名刺ケース、ブックカバーなどの小物によく使われています。ヌメ革は、タンニン(植物の渋に含まれる成分)なめしという、伝統的ななめし方法で作られた革で、染色や塗装がされていないのが特徴です。革本来の自然な風合い、素朴な匂いを大切にした品の良さは、「革の中の革」と呼ばれるほどです。使い始めはごわごわとしたかたさを感じますが、使っていくうちに繊維がやわらかくなっていき、手になじむようになります。陽の光を浴びることで変色し、色合いが変わっていくのも、ヌメ革の魅力。繊維が締まっているので革自体は丈夫ですが、表面加工されていないので、爪でひっかくとすぐにキズになってしまいます。キズを含めエイジングを楽しむのが、ヌメ革を持つ良さかもしれません。
ヌメ革が一番苦手とするのは、水濡れ。少しの水がシミの原因となったりと非常に繊細です。新品のヌメ革はとくに水に弱くシミがつきやすいので、クリームを塗って保護膜を作ってあげるのもオススメです。
そこで、長く革の味わいを楽しめるヌメ革のお手入れ方法を、靴とバッグの修理店doek店長・高見雅治さんに見せていただきました。
お手入れするヌメ革アイテム
ヌメ革のブックカバーです。
陽の光を当てることでしっかり日焼けさせているので、端に見えている元々の生成り色と比較するときれいな飴色へと変化しているのが分かります。
ヌメ革のお手入れアイテム
画像左から:柔らかい生地の布 / デリケートクリーム
☆ツヤを出したい方向けアニリン:カルフ(ANILINE CALF)クリーム (画像右)
お手入れ手順
1. 人差し指に巻いた布で、革を柔らかくするデリケートクリームをたっぷりとります。
2. デリケートクリームをヌメ革にしっかり塗り込みます。
羊の毛穴からとれる油と水分でできているのがデリケートクリーム。部分的に塗るとシミになってしまうので、革全体の色が変わるまで塗るのがポイントです。
3. クリームが乾くまで、10分ほど待ちます。
お手入れ完了
乾いたらお手入れ完了。これで革の潤いと柔軟性が保たれます。ツヤを出したい方は、アニリン・カーフクリームを同様に全体に塗り込んで仕上げましょう。
革を陽にあてるのはよくないとされていますが、ヌメ革は積極的に日光浴をさせてあげましょう。陽に当てると、革の内部にある油分が染み出し、自然な保護膜ができるのです。
少しずつ色に深みが出て、しっとりとした手触りになっていくヌメ革。年を重ねながら、その変化を楽しみたいですね。
お話を伺った人
大学卒業後、国内バッグメーカーに6年間勤務。独立開業を目指し、都内百貨店の靴修理工房に転職、高級紳士靴の修理業を学ぶ。その後、靴修理をメインとしたライフスタイルショップの店長を務め、2014年に独立。靴とバッグの修理店doekをオープン。皮革製品の修理、メンテナンス業務を行っている。
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