「メイドインジャパンの技と誇りを追求していきたい」FUJITAKA

FUJITAKAは、大阪に本社を持つ1941年創業の株式会社イケテイのプライベートブランドです。同ブランドのアイテムは、すべての行程を自社の工場で行っているそうです。FUJITAKAのモノづくりにかける思いをクリエイティブディレクターの池田さんに伺いました。


創業当時から一貫する鞄づくり

「メイドインジャパンの技と誇りを追求していきたい」FUJITAKA

「1941年の創業以来一貫して鞄づくりを行っています」と話す池田さん。創業当時は、ビジネスやカジュアルの鞄はもちろん、ランドセルや学生鞄の製作もオリジナルブランドで行っていたそうです。創業当時から現在まで変わらず、多様な鞄の製作を続けてきたという自信と歴史の重みが、FUJITAKAのアイテムには込められています。

一貫して続いてきたものは、鞄づくりだけではありません。FUJITAKAは、創業から75年間「Made in Japan」に拘り続けているのだそうです。取材の際にも「日本らしさ」という言葉が頻繁に飛び出しました。FUJITAKAの考える「日本らしさ」とはなんなのでしょうか。


日本の環境に適したモノづくり

「メイドインジャパンの技と誇りを追求していきたい」FUJITAKA

革の鞄づくりと言っても、日本と欧米では大きく異なります。それは、日本の気候に起因します。湿気が多い日本では、レザーの大敵である湿気と戦う必要が出てくるからです。

「革は本来、加工をしない方が風合いを出せるんです。しかし、日本の環境で快適に長く使用できる鞄を突き詰めると、多湿という環境に合わせた素材選びと加工が重要になってきます。革の風合いの良さを活かして、かつ環境に適した製品となると、そのバランスが難しい」

日本の環境に最も適した鞄づくりを追求しているFUJITAKA。鞄に使用する副資材に関しても独自の開発に拘っています。コストがかかるようなものでも、それが環境に適した鞄のために必要なピースであるのなら迷いはないのだとか。

「日本に住み、気候なども含め日本のことを知り尽くして企画し、日本の心配りを持ってモノづくりをする。それこそが『Made in Japan』です」

そう話す池田さんの語調からは、モノづくりへの誇りを感じます。


FUJITAKAの考えるいい鞄

「メイドインジャパンの技と誇りを追求していきたい」FUJITAKA

では、FUJITAKAの考える「いい鞄」とはなんなのでしょうか。池田さんに伺ってみます。

「『鞄』にとって、デザインは大切な要素の一つですが、持ち物を運ぶツールとしての役割が最も重要なものであると考えています。ツールとしての鞄を考えると、使いやすさや耐久性が大事ですよね。
鞄って、ご購入後もとても大事なんです。実際にユーザーに購入して使っていただいて、そのあとに『買ってよかったな』『また同じモデルが欲しい』と、そう言ってもらえるかが大切なんです」

池田さんは、「家族のようにユーザーに寄り添う鞄を目指している」と付け加えます。ユーザーに長く使っていただくことを想定しているFUJITAKAでは、修理サービスも万全です。修理に持ち込まれたアイテムの「どの部分」が「なぜ」壊れたのかのナレッジを日々蓄積し、アイテム制作の場に反映することによって、FUJITAKAのアイテムはより日本という環境に適したアイテムへとアップデートしていきます。

ツールとして、鞄の機能性を追求しているFUJITAKAの鞄は、その外装のシンプルさからは想像がつかないほど、内部は複雑なつくりになっていました。ユーザーからは見えない部分にも、手を抜かないという職人の気概を感じます。


ユーザーと同じ目線を持ってモノづくりをする

そこまで拘ってモノづくりを行っているからこそでしょう、お店に訪れるユーザーはリピーターの方も多いそうです。そのリピーターを通して拾った生の声が、環境やユーザーのライフスタイルに適したアイテムづくりに必要な繊細な調整に生かされています。

「ユーザーの声を拾うだけではなく、アイテムのプロトタイプを自分たちで使用してみて気付いたこともアイテム制作に反映しています。ユーザーが使用するシチュエーションやシーンを自分たちでも肌感覚で理解することが重要なんです」

実際にユーザーと同じ目線に立つことの重要性を語る池田さん。

鞄の内装デザインは、ユーザーのライフスタイルに合わせて「実際にどんなものを鞄に入れるのか」のシミュレーションをするそうです。最新のデジタルガジェットが発売されたときには、そのガジェットを購入、または同じサイズの模型を制作して、鞄で持ち運ぶ際の使い心地をシミュレーションします。ユーザーにとって、最も使いやすいポケット配置の設計に余念がありません。

これらのシミュレーションをして、アイテムに反映していくためには、制作拠点が日本になくてはならなかったそうです。ユーザーのことを第一に考えて繊細で細やかなアップデートをしていくFUJITAKAのモノづくりへの姿勢は、相手の心を察して何ができるかを考え行動する日本独自の「心配り」を体現しているように感じました。


お話を伺った人
池田恭子
株式会社イケテイの企画デザイン部門を率いる株式会社イズクリエイションの代表取締役社長、FUJITAKAブランドのクリエイティブディレクター。二十数年に亘り鞄の企画デザインや物づくりの現場に携わっている。ライセンスブランドから有名百貨店、セレクトショップ、専門店などのOEMや別注企画まで幅広く手掛けてきた。

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