ほこり汚れはブラシでサッサッ

今回は表面に起毛・型押しなどをしていない革、スムースレザーのお手入れ方法をご紹介します。お話を伺ったのは、1919年創業の老舗靴クリームメーカー、コロンブスさんです。

靴の汚れには、ほこりなどの「固形物」、そして「水性」、「油性」の３種類があります。まず固形物の汚れですが、これは革の上にほこりなどが付着している状態なので、ブラシで払えば取り除くことができます。その際に最適なのが目の詰まった馬毛ブラシ。隙間がないので、ほこりなどをしっかり除去します。

靴のメンテナンスというのに「たったほこりを取るだけ？」と思われるかもしれませんが、ほこりが靴に付着しているとカビやシミの原因になりかねません。さらに、革は本来、油で潤っている状態なのですが、ほこりが付着しているとそちらに油分が移行して表面が乾燥しやすくなります。ですから、ほこりを取るというのはとても大切なメンテナンスなのです。

水性汚れと油性汚れはクリーナーですっきり

次に水性汚れと油性汚れですが、この２つの汚れは一気に落とすことができます。そこで必要になってくるのが、クリーナーです。

水性汚れと油性汚れが一度に落とせる、ローションタイプのクリーナー。2層に分かれているので、よく振って乳化させてから使います。

こちらが乳化させた状態。
このクリーナーは速乾性があるため、磨いたらすぐに乾いていきます。乾くと白くなるのですが、それは今まで付いていたワックスが浮かび上がって、毛穴から出てきた証拠。次に塗る、靴クリームの浸透性を上げるためにも、クリーナーの使用はとても効果的なのです。

向かって左がクリーナーで磨いた靴。若干白くなっているのがわかります。

靴クリームで栄養を与えよう

今度は栄養分である靴クリームを塗り込みます。もしお手持ちの靴にシワができていたら、そこは革の繊維が緩んでいる状態。いきなり靴クリームを塗るとシミになりやすいため気をつけましょう。目立ちにくいかかとの内側から伸ばしてあげるようにするのがポイントです。

全体的に靴クリームを塗ったら、今度はブラシを使って余分な靴クリームをはじいてあげます。このとき用意すべきなのが目の粗い豚毛ブラシ。隙間が空いているので、余分な靴クリームが取りやすくなります。

ただ、あまりゴシゴシしてしまうと毛がつぶれてしまうので、毛先だけで使うのがコツです。そしてブラシではじくと、光沢が出てきます。光沢は、から拭きによって出てくると考えられがちなのですが、余分な靴クリームをはじくことによって出てくるのです。

最後に仕上げです。ブラシは「点」で革に接しているので、それだけだと点と点の間に靴クリームが残ってしまいます。そのため、布などの「面」を使って余分な靴クリームを拭き取っていきます。

以上でスムースレザーの基本的なお手入れは完了です。片足５分くらいでできるので、ぜひ時間をつくって試してみてください。頻度は１か月に１回くらいで十分ですが、その日の汚れはブラッシングで取るようにしましょう。

取材先
株式会社コロンブス
1919年創業の老舗靴クリームメーカー。靴クリームの専門メーカーというのは、世界的にみてもめずらしい存在。メイドインジャパンにこだわり、品質の高い商品を世に送り続けている。なかでも2008年に立ち上げたブランド「Boot Black」が人気。