宮崎 泰二

YASUJI MIYAZAKI
代表 / クラフトマン

1979年石川県生まれ。
2005年より現在。
2015年に2005年から10年やってきたことの集大成として、すべての工程を自らの手で行う一品生産スタイルで石川県金沢市郊外にてコードバンを主役にしたレザーブランド「無二」を設立。
※2017年より制作拠点を東京・台東区へ移し現在に至る。

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無二の財布の強さ〜Vol.1 コバ磨き

こんにちは!無二を主宰しております宮崎です。
今回は無二の財布の強さの拘りである、コバ磨きについて書いて見たいと思います♪

「コバ磨き」とは、革の切り口(断面)を滑らかに整えながら磨き上げる作業工程です。コードバンレザーブランド【無二/Muni】では、この「コバ磨き」を取り入れた作り込みで製品製作をしています。

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一見、他の革財布となんら変わりない【無二/Muni】の財布が、なぜ強いのか?!その理由を、いくつかの項目に分けて書き留めていきたいと思います。無二レザーの特徴を知って頂くと同時に、今後の革製品選びの参考にして頂けますと幸いです。

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無二では、この「コバ磨き」を取り入れた仕立てを、単なる製造過程の作業工程ではなく、製品の仕上がりを左右する重要な作業工程という意味から、「コバ磨き仕立て」という表現をしています。

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コバ磨きは皮革一枚のパーツにも、何層にも重なった部分にも同じように行います。特に何層にも革パーツが重なった部分が、一枚革の様に仕上がっていく様子はとても美しいものです。

単に色をつけて仕上げたコバなのか、、、繰り返しの磨き込みで仕上がったコバなのか、、、よく見るとわかります♪もちろん、後者の「繰り返しの磨き込みで仕上がったコバ」の方が、磨き剤がしっかりと浸透しており、耐久性も耐水性も備わっています。そして、コバ面に凹凸感がなく、美しい断面になっていると思います。

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それでは、この「コバ磨き仕立て」について順に説明していきます。

コバ磨きはベジタブルタンニンなめしの"ヌメ革"を加工する上では欠かせない工程になり、革製品の製作において基本となる工程です。

革の切り口(切断面)を手触り滑らかになるまでヤスリ掛けと磨きを繰り返して仕立てていく訳ですが、、、牛革は皮膚と繊維質の2層で構成されています。切り口の角を落とし、断面をヤスリで整えていきますと、繊維質の層が毛羽立ちしてボソボソ?ボロボロ?の状態になります。次の写真が、パーツを貼り合わせた後にヤスリ掛けで断面の凹凸を整えた状態です。

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目視で繊維質の毛羽立ちが確認できると思います♪コバ面の真ん中にパーツの貼り合わせた境目も確認できると思います。この状態から、磨き剤を浸透させ、毛羽立ちを押さえて滑らかな面になるようにイメージしながら磨き込んでいく訳です。磨く際には、木でできた磨き工具(ウッドスリッカー)や、綿のクロスなどを用いて、エッジ(角)が立たないよう滑らかな曲線美の断面に仕上げていきます。コバ面がしっかりと耐久性と耐水性を兼ね添えた状態になるまで、「ヤスリ掛け→磨き」を何度も何度も繰り返します。革の状態によっては、一日置いて時間をかけて仕上げていく場合もあります。完成までには10数回ほどのコバ磨きを繰り返す事になります。

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毛羽立ちが収まり磨き上がったコバはいかがでしょうか?上の写真の「磨き込んだコバ(上段)」と「磨き前のコバ(下段)」を比べると、、、初めてご覧になる方は、同じもの??とビックリされることだと思います(^^)

この仕上がりが、ベジタブルタンニンなめしの"革"(ヌメ革)の特徴です。ベジタブルタンニンなめし革は、使い込んでいくうちに味わい深い変化をしていきます。木材で言えば、無垢の状態です。メンテナンスケアをしなければ、汚れも付きやすく、水分も良く吸います。日光に当たることで、色深く変化もしてゆきます。その変化する性質の一部を「コバ磨き仕立て」にも生かしているのです。

※化学薬品でなめされるクロームなめし革では、ベジタブルタンニンなめしと"革の性質"が違い、磨き剤が繊維に浸透しにくい為「コバ磨き仕立て」は難しくなります。※コードバンレザーブランド無二では、クロームなめし革を使用しませんので、クロームなめし革の説明は省かせて頂きます。

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【無二・Muni】は、馬の臀部繊維質の革・コードバンと牛のヌメ革(いずれもベジタブルタンニンなめし革)を使用した革製品ブランドです。

牛のヌメ革は、皮膚と繊維質の2層構造であることは先ほど説明させて頂きました。では、コードバンの構造はというと・・・コードバンとは、馬の臀部繊維質を加工した革です。牛のヌメ革でいう皮膚と繊維質部分は、ホースハイド(馬革)として加工されます。そのさらに下に、「コードバン層」と呼ばれるコラーゲン繊維質が存在しています。もちろん皮膚は付いていませんのでコラーゲン繊維質「1層構造」となります。

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コードバンを構成しているコラーゲン繊維は、牛革の繊維構造とは違い、繊維の配列が密でキメが細かく構成されています。【無二・Muni】製品のコバ磨きをする上で、牛革の2層構造とコードバンの1層構造を馴染ませながら仕上げていくことに神経を注いでいます。繊維構造が違うので、牛革と牛革の貼り合わせ面とは違って馴染みにくく、表面上、綺麗に仕上がったように見えても実際はまだ馴染んでいないことがあります。

財布は、革製品の中でも使用頻度が多い製品になります。曲げ伸ばしの負荷が掛かる場所も多いですし、コバ磨きの仕立てが甘いと当然、コバ面がガタガタになり、型崩れ、糸切れの原因にも繋がります。

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正直なところ、沢山の数を作りたいとという事を優先させれば、「コバ磨き」工程は省こうと思えば省ける工程です。でも、省いた分だけ良いもの(あくまで僕自身の中での価値観ですが。。。)は提供できなくなります。良いものとは、見た目だけでなく、お客様の手元に渡り、安心してご愛用いただけるもの。そしてさらに長くご愛用いただけ、愛着の湧いてくるものだと思っています。

使って頂いて実感して頂けるであろう部分なので、見た目には他の製品となんら変わりはありません。むしろシンプル過ぎて見た目は劣り、見た目の評価はマイナススタートかもしれないです(笑)でも、僕はそれで良いと思っています。使って頂ける方の満足度が日に日に増すのであれば、それで良いと感じています。

ただ、、、そのためには、高耐久は必要不可欠となります(^^)

コバ磨きは、完成まで時間のかかる工程の一つですが、、、安心してください!今後もしっかりと丁寧に磨き上げていきます!

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ひとりごと・・・【無二・Muni】 では、通常使用の負担及び負荷を想定し、革の厚み調整、パーツ構造、仕立てを考えています。できるだけ薄く構成もしたいのですが、オールレザー仕立てで、革本来のハリやコシ、変化を楽しめ、耐久性を兼ね備えたものを♪という想いから、「薄すくしすぎない」という部分も重要だと思っています。

「遅い」、「高い」、「目立たない」というスタイルですが(笑)日々、より良いモノ作りに集中して参りたいと思います。

今回の「無二/Muniの財布が強い理由」〜vol.1 "コバ磨き仕立て"はここまでとさせて頂きます。最後までご覧いただきありがとうございました(^^)今後も、コードバンレザーブランド【無二・Muni】を宜しくお願いいたします。


Thank you... Muni by Yasuji Miyazaki



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