動物の皮を原料とした天然皮革は、牛革や馬革、豚革など、さまざまな種類があります。その中でも"代表的な革"と呼ばれ、革製品に特に多く使われているのは牛革です。
それは一体なぜなのでしょうか?
牛革の特徴と魅力を掘り下げながら、その理由を探っていきたいと思います。
牛革は組織密度が均一なので「丈夫」である
牛皮にはメーカーと利用者の双方から好まれる理由があります。
それは他の革と比べても「丈夫」という点です。
牛の皮の繊維を調べてみると、全体的に組織密度のバラつきが少なく、厚みが均一であることがわかります。そのため、耐久性に優れていて、鞣しなどの加工を施して皮革にしやすく、さらに皮革にしても強度があり、丈夫で長持ちするという特性があります。
天然皮革の魅力と言えば、「長く使い続けられること」と、それによって「独特の深い味わいが生まれること」なので、牛革は天然皮革ならではのメリットを最も備えていると言ってよいでしょう。
だからこそ、日本だけでなく多くの国で牛革が愛用されているのです。
細かく分類されているので、選ぶ楽しさがある
もう1つの牛革の魅力は、選ぶ楽しみを味わえる点です。
ひと言で「牛革」と言っても、原料となる牛の年齢や性別によって細かく分類されていて、それぞれに名前が付けられています。
種類ごとに特徴や風合いが全く異なるため、購入する際に「革製品に何を求めるか」によって革の種類を選ぶことができます。たとえば、キメの細かいもの、薄くて丈夫なもの、柔らかく手触りがよいものなど、同じ牛革でも実に多種多様な革があります。
ただし、この楽しみを満喫するためには、種類ごとの特徴を事前に知っておく必要があります。そこで、主要な種類を簡単にまとめてみたので、チェックしてみてくださいね。
種類別の紹介
- カーフ
生後6カ月以内の子牛の皮を原料にした皮革。牛革の中でも最高級の素材であり、キメが細かく、柔らかいのが特徴です。カーフの中でも生後3カ月以内のものはベビーカーフと呼ばれ、さらに高値がつくことで知られています。カーフは小物や靴に用いられることが多い革です。 - キップ
生後6カ月〜2年以内の牛の皮を原料とした皮革。カーフと比べると、歳を重ねているぶん、キメの細かさや柔らかさは劣るものの、丈夫で、値段も少し下がるので手に入れやすいところが魅力です。小物からバッグ、衣服まで幅広く使われています。 - ステアハイド
生後2年以上のオスで、生後3〜6カ月の間に去勢した牛の皮を原料とした皮革。一般的な牛革製品として市場に出回っているものの多くがステアハイドの製品です。厚みがあり、耐久性に優れています。大型のバッグなどによく使われています。 - ブルハイド
生後2年以上のオスで、去勢されていない牛の皮を原料とした皮革。牛革の中で「最も硬い革」と言われていて、靴底などによく使われています。その硬さから他の製品にはあまり使われることがありません。 - カウハイド
出産を経験した生後2年以上のメス牛の皮を原料とした皮革。オス牛の皮を原料としたステアハイドなどに比べると薄いものの、丈夫なのでジャケットやバッグなど、幅広く使われています。
これを知っていたら通!? 部位ごとにも名称がある
一般的に使われる牛革の種類別の呼び名は上記のものですが、牛の部位によってもシワの付き方などの特徴が異なり、それぞれに名称があります。これを知っていたら、あなたも「通ですね」と呼ばれるかも!?
- ベリー
腹の部分。柔らかく、軽い。バッグの内貼りや靴の中敷きに多く使われています。 - バット
背中の部分。繊維密度が高いので、丈夫で伸びにくいところが特徴。バッグの底に使われることがあります。 - レッグ
脚の部分。厚みがあり丈夫なので、さまざまな製品に使われています。
以上です。
牛革が"代表的な革"と呼ばれ、市場に最も流通している理由がおわかりいただけたでしょうか? 牛革にはこれだけの種類があり、特徴も異なるので、製品を購入する際には、どの種類の革が使われているのかなどもチェックしてみてくださいね!
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