英国の歴史が薫る「ブライドルレザー」 耐久性と堅牢度の高さが特徴的

紳士用の財布や手帳などの素材としてよく見かける「ブライドルレザー」。締まりのある堅さと、蝋が塗られた特有の表情は、男性の渋さを引き出します。この革は元々、英国で馬具用に使われていました。戦争や産業の発展により乗馬が盛んになった中世において、優れた馬具が必要になり開発されたと考えられています。「ブライドル」の英語表記は「bridle」。馬鞍や手綱などの馬具全般の総称のことを指します。すぐに壊れてしまうと落馬や怪我をしかねない馬具は、何よりも強靭さと耐久性が必要。そこで使われるようになったのが「ブライドルレザー」なのです。

たっぷりの蝋が耐久性を引き上げる 英国職人のこだわり

MLM_P082_B.jpg

タンナー(鞣し革業者)の中には、今から1000年以上も前に創業しているところもあります。そんなタンナーで生産されている「ブライドルレザー」がいかに長い歴史を持っているか伺えます。
作り方はまず、厚く漉いたレザーをタンニンで鞣します。次に蝋をたっぷり染み込ませます。これはブライドルレザーの特徴的な加工で、蝋を染み込ませることで繊維が引き締まり、耐久性がぐんと上がります。さらに、革に染み込んだ蝋が表面に浮き出し、革を包み込むようにして撥水膜の役割を果たします。そのため他の革に比べ水に強いという特徴も。タンナーによって蝋の製造方法にも特性があり、それぞれのこだわりの元に調合されています。
作業行程が数カ月もかかるので値段は高め。けれども職人たちの手間暇やこだわりが存分に発揮され、耐久性のみならず見た目の美しさをも誇る革といえます。

使い始めとその後で、変わる表情を楽しむ

使い始める前は、まるで白い粉をまぶしたかのような「ブルーム」と呼ばれる浮き出た蝋がこの革の最大の特徴だと言えます。中には蝋を塗り伸ばしたハケの跡が見えるものも。この「ブルーム」、柔らかいブラシで落としてしまうのと、じっくり自然と剥がれるのを待つという2通りの楽しみ方があります。革好きの方には後者を選ばれる方が多いようです。「ブライドルレザー」は耐久性に富んでいるので経年変化に時間がかかりますが、使い込むうちに革の油分と染み込んでいる蝋分がなじみ、徐々に艶が出始めます。また、夏は暑いのでブルームが見えにくくなり、冬は寒くブルームがはっきり浮き出るなど季節で違った表情を見せます。この革特有の艶は品が良くて趣深く、見るものを魅了するほどの美しさです。また触り心地もサラサラとしていたものがしっとりと肌になじむようになり、日々の変化の楽しさを教えてくれます。

財布や手帳 持っているだけで男の渋さが上がる

MLM_P082_C.jpg

革の堅さゆえに縫製がたいへん困難で、確かな技術のある職人にしか加工ができません。その分小物でも高価です。
現在「ブライドルレザー」は長財布や手帳など、紳士用の革小物として多くの愛好家に親しまれています。また、上部を口金で留めるタイプの本革ビジネスバッグ「ダレスバッグ」などに用いられることも。ビジネスシーンなどでも特有の渋さを与えてくれる「ブライドルレザー」は、男性の深みを引き出し、貫禄を添えてくれます。高価ではありますが、その分キャリアをしっかり積んだ男性しか持ち得ない揺るぎのない雰囲気を、しっかり表現してくれる革と言えるでしょう。

JAPAN LEATHER BRAND“Mens Leather Magazine”がオススメする本物志向のレザーブランド

Official SNS

Copyright© Mens Leather Magazine. All Rights Reserved.

当サイトに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。