軽くて丈夫、高いパフォーマンスを誇る豚革

その豚革、国産です

ピッグスキンとも呼ばれる豚革は、日本で唯一、飼育から加工、製品化までを国内で自給できる革です。日本で豚革の生産が始まったのは明治時代からで、食肉のための豚から採れた皮を再利用する方法として広がりました。本格的に豚革の生産量が伸び始めたのは戦後からで、戦後の洋食ブームにより豚肉の消費率が高まったことが理由といわれています。現在では海外への輸出も手がけており、その品質には高い評価を受けています。日本国内で流通する豚革のほとんどが国産のものとなっており、その生産の9割以上を東京都墨田区が行なっています。その理由は、荒川や隅田川などの川があり、革を生産するのに恵まれた環境だったためと考えられています。

豚革の特徴

豚革の魅力は薄さと軽さ、耐久性にあります。高いパフォーマンスを持ちながら、革製品の中では比較的安価な傾向にあることも嬉しいところですね。そして豚革の最も特徴的なポイントは、実際に見たときにパッとわかる、3つずつ三角形のような形で並んだ毛穴。皮膚すべてを貫通しているこの深い毛穴をどう感じるかは意見の分かれるところなのですが、この毛穴のおかげで、豚革は他の革にはない高い通気性を実現しています。加工も施しやすく、硬く加工して宝石のように半透明に仕上げるなどの特殊加工も可能なため、あらゆるデザインに対応することができます。また、豚革と類似した革に、ペッカリーレザーと呼ばれるものがあります。豚革と共通した3つの毛穴があり、そのために「野豚」と呼ばれるなどして間違いやすいのですが、本来豚とは異なる野生の動物なので、ご購入する際には注意してください。

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豚革の種類とよく使われるアイテム

軽くて柔らかい豚革は、コートや手袋などの衣類はもちろん、摩擦や傷に強いため、靴の敷革やカバンの裏地などにも多く採用されています。出張や旅行にも連れて行きたいアイテムとなりますね。高い通気性を持っているので、手袋や靴など湿気のこもりやすいアイテムにも豚革が好まれています。特徴的な毛穴を活かしたデザインも昨今では増えてきました。牛革と比べて価値を低く見られがちな豚革ですが、上質なものは見た目にも美しく、高い実用性から「心強い相棒」として惚れ込むユーザーも多いのだとか。豚革で代表的な2種類を紹介します。

  1. アメ豚
    タンニンなめし加工という加工がされた、アメ色(明るいキャメル色)の豚革です。つやつやとした光沢が特徴で、上質なものは高級牛革とほぼ同じ価値をつけられることもあります。ハリのある透明感とエイジングによる変化が美しく、ファンの方も多い種類です。
  2. ピッグスウェード
    裏側を起毛させた豚革です。豚革特有の毛穴が目立たなくなり、手触りがよいことが特徴です。バッグの裏地部分などには主にこちらが使われています。

豚革のお手入れ

基本的には牛革と同じで、専用の保革クリームでお手入れをしましょう。豚革は比較的丈夫な革なので、普段使いのあとや軽い汚れ程度なら、柔らかく乾いた布で優しく拭き、ブラッシングをしてあげれば十分です。しっかりとクリームでお手入れをする場合は、布で汚れを拭きあげたあとに塗りこみます。頑丈さが長所の豚革ですが、水分には弱いので、濡れ拭きをする場合は水分をきっちりと絞ってから拭いてください。専用のクリームであっても、革によってはシミになってしまったり、色が変わってしまったりすることもあるので、まずは目立たないところで試してくださいね。また、クリームは豚革特有の毛穴に入り込みやすいので、使用した後はブラッシングをするなどして整えることをオススメします。

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