革の裏面側をサンドペーパーで擦って起毛させた革、スウェード。毛足が短くやわらかな触り心地であるほど、上質なものとされています。スウェードと同じく起毛皮革のなかには、毛足の長い「ベロア」、革の表面を起毛させた「ヌバック」などさまざまな種類があります。
スウェードは起毛しているため、汚れが革の表面までつきにくいという特徴があります。ですので、お手入れは基本的に「ブラシでこする」だけと簡単。しかし、「お手入れを間違えたらシミになりそう......」と、何もせずに汚れていくのを放置する方も少なくありません。
お手入れのコツを、靴とバッグの修理店doek店主・高見雅治さんに教えてもらいました。
お手入れするスウェードアイテム
写真左がヌバックのブーツ、写真右がスウェードのブーツです。ここでは、スウェードのブーツの左足を例にお手入れをご紹介しますが、お手入れの手順ややりかたはヌバックとスウェードでは変わらないので、同様の方法でヌバックブーツのお手入れもしてみてください。
スウェードのお手入れアイテム
画像左から:ワイヤーブラシ / スウェード用のスプレー
お手入れ手順
◆ 基本のお手入れ
1. 紐があるものはとり、シューズキーパーを入れてスタート。
2. 汚れを掃き出すように、強い力でブラッシング。
強めにブラッシングをして、潰れた毛を起こしてください。毛の間に入り込んでいる細かいほこりなどを掃き出したあとは、今度は逆に、毛を寝かせるようブラッシングすることで毛足を整えることも忘れずに。
3. スウェード用スプレーを全体の色が変わるまでかけます。
革に栄養を与えると同時に、防水、防汚します。部分的にかけるとシミの原因になるので、全体にくまなくかけるように。
◆シミを落としたい人の応用編
おすすめ......はしませんが、シミをしっかり落としたい人は、紙やすりを使うのが裏ワザ。市販の紙やすりで気になるシミ部分やなかなか落ちない汚れ部分をこすると、ブラッシングよりも落ちやすいでしょう。
力を入れ過ぎると、縫い目の糸が切れることがあるので注意してください。
お手入れ完了
スプレー後、10分程度置くとお手入れは完了です。
このように、しっかりと防水効果が現れます。ただ、表面をコーティングしているだけなので、ものに当たって擦れたりすると、防水、防汚効果はなくなってしまいます。こまめにスプレーすることが大切です。
ちなみに、スウェードに絶対つけてはいけないのが靴クリーム。せっかくのやわらかな起毛をつぶしてしまうので、間違えて使わないようにしてください。
自分の使い方にあったお手入れ方法で、スウェード靴や小物と長く付き合っていきましょう。
お話を伺った人
大学卒業後、国内バッグメーカーに6年間勤務。独立開業を目指し、都内百貨店の靴修理工房に転職、高級紳士靴の修理業を学ぶ。その後、靴修理をメインとしたライフスタイルショップの店長を務め、2014年に独立。靴とバッグの修理店doekをオープン。皮革製品の修理、メンテナンス業務を行っている。
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