革製品につきもののキズ。靴なら、擦れたり、何かにぶつかって革がつぶれてしまったり。小物であれば爪で引っかいてしまって、激しく後悔することもありますよね。
革製品のキズは風合いのひとつとして味わえるものですが、中には目立たなくしたいと思うものもあります。そこで、ついてしまったキズをキレイに修復する方法を、皮革製品の修理・メンテナンスのプロである、靴とバッグの修理店doek店主・高見雅治さんに聞きました。

色が剥げてしまったときの修復法

1. 剥げてしまった色を修復するため、革の色に合わせてクリームを選びます。今回は黒の牛革なので、こちらのクリームを使用。

2. 小ブラシを使って、クリームを塗り込みましょう。

3. 剥げていた部分に色がつきました。まだ、違和感が少々。

4. ブラシを使ってクリームを馴染ませます。

5. クリームが馴染んで、剥げていた部分が目立たなくなったら完成です。

擦りキズがついてしまったときの修復法

1. 革に合わせたクリームを選びます。今回はコードバンなので、コードバンクリームを使用。

2. キズの部分を中心に、靴クリームを塗り込みます。クリームに含まれるロウが、キズの凹凸を埋めてキレイにしてくれます。

3. クリームが馴染んだら、完成です。

それでも消えないキズには

なかなか消えないキズなら、紙やすりで部分的に擦ったあとにクリームを塗り込んでブラッシングする方法もあります。さらにキズついてしまうのでは......と思いがちですが、クリームがしっかり伸びてキレイに隠してくれるので大丈夫です。

小物やバッグの傷はどうする？

小物やバッグなどについた傷の修復は難しく、靴と同じように色付きのクリームを塗ると、持ったときなどに衣服に色がついてしまいます。小物類は、キズやシワが付かないように普段から乾燥を防ぐクリームを塗ったり、ズボンの後ろのポケットではなくきちんとバッグに入れて持ったりと、扱い方への心がけが大切。多少のキズは"味わい"として受け入れてしまいましょう。
また、キズと同じくらい気を付けたいのが、ひび割れです。バッグなどは、重い荷物を入れて革に負担をかけている上、乾燥で革の油分・水分が失われることでひび割れが生じます。パサパサになって、最終的にはちぎれてしまうことも......。
靴や小物はこまめにケアするけど、バッグはなかなかしないという方は少なくありません。長く使うためにも、デリケートクリームなどでお手入れしてあげるといいでしょう。

お話を伺った人
大学卒業後、国内バッグメーカーに6年間勤務。独立開業を目指し、都内百貨店の靴修理工房に転職、高級紳士靴の修理業を学ぶ。その後、靴修理をメインとしたライフスタイルショップの店長を務め、2014年に独立。靴とバッグの修理店doekをオープン。皮革製品の修理、メンテナンス業務を行っている。