馬のお尻の皮からとれる皮革、コードバン。革靴のほか、小物用としても人気の素材ですが、一頭からとれる量がわずかなため、動物皮革のなかでも最高級品とされています。
馬のお尻の皮は、ザラザラとした肌触りの粗い皮と、細かな毛の皮が層になっています。表面の粗い皮を専用の機械で削り取ることで、コードバン特有のなめらかでしっとりとした触り心地が生まれるのです。一度買えば一生もののコードバン商品。長くキレイに愛用するために、コードバンならではのケア方法を、靴とバッグの修理店doek店長・高見雅治さんに教えてもらいました。
お手入れするコードバンアイテム
コードバンのローファーです。コードバンのアイテムは、手入れによってツヤを出していくのがメインになります。こちらの左足を使って、お手入れの手順を紹介します。
コードバンのお手入れアイテム
画像左から:柔らかい生地の布(フリース生地がオススメ) / 馬毛ブラシ / 小ブラシ / コードバンクリームと乾拭き用の布 ※こだわり派向け / 皮革用ローション
お手入れ手順
◆基本のお手入れ
1. シューズキーパーを入れて、靴のシワをできるだけ伸ばした状態でケアスタート。
高見さんのお気に入りは、木製のシューズキーパー。プラスチック製のものより3〜4倍高価になりますが、流線型で靴にフィットします。好みの1品を買ってお手入れ用として使用するのもいいでしょう。
2. 人差し指に巻いた柔らかい布に、皮革用ローションを2cm出します。
3. ローションを革に塗り込み、革に栄養(水分と油分)を与えます。
汚れやすいところ、シワになっている部分が気になるからといって、ローションの量は増やさないように。円を描くように強めに塗り込みましょう。
4. 馬毛のブラシでブラッシング。
ローションのロウ分を満遍なく革に行き渡らせます。
5. 乾拭き専用の布で乾拭き。
表面のロウ分をキレイに整え、ツヤを出します。
◆ツヤ出ししたい人へ応用編
普段のお手入れはここまででOK。ローションは靴の大きさやシワの度合いによってつける量を増やしていきましょう。
さらに光沢、ツヤを出したいなら「コードバンクリーム」を塗り込みましょう。コードバンクリームはロウ分が強いので、財布などの小物系に使用した際、べたつきが気になる人は乾いた柔らかい布で拭いたり、しばらく陰干ししたりするといいでしょう。
1. コードバンクリームを、少し固めな豚毛のブラシで塗り込みます。
2. 馬毛のブラシでブラッシング。
3. 仕上げは乾拭き専用の布でロウ分を整えます。
お手入れ完了
コードバンは水に弱いので、ローションは水性ではなく油性のものを使うのがポイント。お手入れはシワや汚れが目立ってきたら行いましょう。出かける前のブラッシングだけでも、以前のお手入れ時の際、革に残っているロウ分がならされツヤが出るはず。足元がキレイな状態で歩けば、気分も晴れやかになりますよ。
お話を伺った人
大学卒業後、国内バッグメーカーに6年間勤務。独立開業を目指し、都内百貨店の靴修理工房に転職、高級紳士靴の修理業を学ぶ。その後、靴修理をメインとしたライフスタイルショップの店長を務め、2014年に独立。靴とバッグの修理店doekをオープン。皮革製品の修理、メンテナンス業務を行っている。
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