コンマ1ミリにまで拘り抜いてつくられる野村製作所のアイテムの数々

OEM事業を中心にモノづくりを行っている野村製作所。ここではそんな野村製作所のアイテムを少しご案内しましょう。

取材時、野村製作所請負の最低ロット数は60とのことでした。意外に少ないところから見積もってくれるようです。故、個人経営のアパレルなどからの依頼を受けていることもあるとのこと。とすると、個人の結婚式の引き出物などにも使えるかもしれません。数あるサンプルの中から選んでもよいし、世界でたった一つのデザインというのを、野村製作所のサンプル担当者と作り上げていくのもいいでしょう。その衝動に無性に駆られます。


手に取って味わってほしい長財布

コンマ1ミリにまで拘り抜いてつくられる野村製作所のアイテムの数々

まずは長財布。二種並べてあるのは、紳士もの(ここではユニセックス)と婦人ものの微妙な違いを味わっていただきたいから。

ファスナーがくるりと二辺を走る、同じラウンド型の長財布でも、男女兼用型、いわゆるユニセックスの仕様では、婦人ものよりもサイズが若干小ぶりになっています。一般的な婦人の長財布がカードを横に2枚余裕で入れられる大きさになっているのに対し、こちらは一万円札がぎりぎり収まる大きさになっているのです。厚みも抑えてあり、これらは、胸ポケットやスラックスのお尻のポケットに入れやすいようにとの配慮から。

ステッチにも拘っています。一般的な婦人もののステッチが、通常、キワから平均2.5㎜位なのに対し、ユニセックス型では2㎜と狭くしてあり、糸も細く、ステッチ自体も若干細かくなっています。
「もの自体のスマートなイメージを壊さないように、ステッチもスマートに」
と細野さん。ふくらまないよう、物を入れる個所を極力少なくしたのも工夫の一つ。

また、従来の完全な紳士ものに近づけすぎずソフトな雰囲気を出したかったので、糊の張り具合を少し柔らかく調整したといいます。細野さんは続けます。
「是非、手に取って味わっていただきたいですね」

落ち着いた語り口の細野さんのあたたかさ、優しさが伝わってくるような一点です。


顧客目線で寄り添い続けたからこそ行き着いた名刺入れ

コンマ1ミリにまで拘り抜いてつくられる野村製作所のアイテムの数々

それから名刺入れ。ユニセックスものです。上記財布と同様、スマートさを重要視しています。その為、極力パーツを少なくしたいところ。でも、細野さんは首を振ります。
「当然ながら、"道具である"ということも考えるわけです」
そのデザイン性と機能性の見事なまでの共存について細野さんは、
「OEMを数多くこなしてきた経験からこそ行き着けた、微妙なバランスなんです」
と、きっぱり言い切りました。


漆の光沢と白なめしの柔らかさ

コンマ1ミリにまで拘り抜いてつくられる野村製作所のアイテムの数々

次に、一風変わった趣の財布ですが、これは、ハイヒールのかかとなどに用いられるスタックという部分を加工したもの。皮を積み上げて木目調のように見せるのが本来のスタックですが、最初からプリントでそのように作っているものもあります。

このスタックを用い、表面には、光沢を出す為ウルシを塗っています。靴でもスタックヒールの物は他の物より丈夫で長持ちするのですが、この財布も、機能的な部分では丈夫なのが最大の特徴です。

内側には姫路産の白なめしを用い、「漆の面構え×柔らかな白」で、豊かな表情を演出しています。


使えば使うほど愛着の湧くクロコ

コンマ1ミリにまで拘り抜いてつくられる野村製作所のアイテムの数々

最後にクロコのアイテムをご紹介しましょう。元々はレディースのラインとのことでしたが、男性にもじゅうぶんご満足いただけるアイテムです。

ヒレの位置、カーブの角度などが秀逸で、持ってみると、実にしっくりと、ぴったりと手になじんできます。黄金比のように計算されつくしたその形状。

上品で洗練された印象でありながら、しっかりとした存在感を放つ、至高のアイテムです。


オリジナルブランド拡大に期待

現在のところ、自社オリジナル製品にブランド名やロゴは用いていないとのことですが、いずれ、前出の栃木営業所発のブランドをはじめ、東京オリンピックに合わせたものなど3つ程のラインでブランド展開を考えているとのこと。

"なんでもない"の先に行き着いた、どんな"微妙なバランス"が盛り込まれてくるのか、今から非常に楽しみです。


お話を伺った人

お話を伺った人
野村俊一
1951年生まれ。1923年東京浅草で創業した革小物製造業の家に生まれる。生まれも育ちも現在の東上野。2002年により4代目取締役として就任。


お話を伺った人

(写真右)冨田隆弘・・・1975年生まれ。2008年7月に入社。サンプルの製作と生産管理業務を行う。(写真中央)細野悠介・・・1982年生まれ。2006年に入社し、革の管理や裁断などの担当業務を経て、2011年よりサンプル業務に携わる。(写真右)木村淳・・・1986年生まれ。2012年に入社し、サンプルの製作と生産管理業務を行う。

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