ベテランと若手の垣根を越えたモノづくりFUJITAKAの職人の思いとは

鞄製作にかかわる工程、ユーザーの購入後の修理対応などアフターサービスを含めすべてを自社で行うFUJITAKA。現在のFUJITAKAに行き着くには、長い道のりがありました。


再構築して生まれ変わったFUJITAKA

ベテランと若手の垣根を越えたモノづくりFUJITAKAの職人の思いとは

平成に入り、業界では職人の高齢化や後継者不足が問題になっていました。FUJITAKAも例外ではなく、自社の職人の持つ伝統技術を後の世代に残していきたい思いを募らせていったそうです。

そんな時代背景のなか、1994年に自社ファクトリーを設立。これにより、モノづくりのすべての工程に目を届かせることが可能になり、安定的な生産ができるようになりました。そして、FUJITAKAの伝統技術を継承し得る熱意のある若手職人を新しく自社ファクトリーに迎え入れ、少しずつ体制を整えていきます。

そしてついに、FUJITAKAは資材の開発からデザイン、サンプル制作、裁断、縫製、検品、そして修理などのアフターケアまでを担える体制が整います。1994年頃に入った若手職人が現在では40代。今度は、自分たちが受け継いできた技術を新しい若手に教える番なんだそうです。「まさに理想的な世代交代」と言えます。


情熱のある技術者の養成機関になりたい

ベテランと若手の垣根を越えたモノづくりFUJITAKAの職人の思いとは

業界では、依然として職人が減っていますが、一方で鞄づくりに興味のある熱心な若者も決して少なくはないと言います。そんな熱意のある若者に技術を継承していきたいという熟練の職人たちの思いもあり、FUJITAKAでは情熱のある若手技術者の育成機関として人材育成を続けています。

そこで、技術の継承をどのように行っているのかを伺うと、「ベテラン職人と若手職人が協業しながらモノづくりをすることで、技術の伝承を行っています」とのこと。ベテランの伝統技術と若手職人の若い感性が合わさることで、モノづくりにも良い相乗効果が出ているそうです。

ベテランと若手の職人の関係は極めて良好だと言います。
「ベテランと若手が協業する形をとっているからこそ、コミュニケーションが活性化されたと感じます。職人はみんな家族みたいに仲が良く、業務以外でも休日になると一緒に買い物に行ったりしているみたいです」

そう話す池田さんは楽しそうです。
若手職人も着実に力をつけていき、どんどん頼もしい存在になってきているとのこと。家族みたいな関係、きっと若手職人の成長を見守るベテラン職人たちは、我が子を見守る親のような心持ちなのでしょう。


モノづくりを身近に感じてもらいたい

ベテランと若手の垣根を越えたモノづくりFUJITAKAの職人の思いとは

FUJITAKAは、「ユーザーにFUJITAKAのフルラインナップのアイテムを思う存分吟味してもらいたい」という思いから、1号店である「IKETEI VILLA TOKYO」に続き7月30日に大阪に「IKETEI VILLA OSAKA」をオープンしたばかりです。

ここでは、FUJITAKAのアイテムをフルラインナップで取りそろえる売り場に加え、修理やアイテムの取り扱いなどのアフターサービスの相談窓口、そして「ユーザーにモノづくりを身近に感じてもらうため」に、全面ガラス張りの工房を併設しています。

「よく近所の子供たちが熱心に見ているので、職人も緊張しているみたいです。でも、そうやって職人の姿を身近に見られることで、将来鞄やモノづくりに興味を持つ子供たちが増えればと思っています。『職人ってかっこいいな』『鞄って素敵だな』と地域の人たちに夢を与えることが、鞄業界そして地域の社会貢献に微力ながら繋がれば」

地域に根差したお店にしたいと話す一方で、「ユーザー側だけでなく職人側にもモチベーションのアップを期待しているんです」と池田さんは出店の狙いについて話します。

「『楽しく仕事をする』『人をわくわくさせる商品をつくる』というFUJITAKAが大事にするこれらの考えをユーザーの声や姿に触れることで、若手の職人たちにも実感してもらいたい」

と池田さん。現在工房には若手職人が自社ファクトリーからローテーションで勤務していて、実際に勤務した若手職人からは「緊張したけど楽しかった」という喜びの声が多いそうです。

職人たちのモノづくりを見て育った子供たちが、いつの日かFUJITAKAの門戸を叩く、そのときを今からでも待ち遠しく思います。


お話を伺った人
池田恭子
株式会社イケテイの企画デザイン部門を率いる株式会社イズクリエイションの代表取締役社長、FUJITAKAブランドのクリエイティブディレクター。二十数年に亘り鞄の企画デザインや物づくりの現場に携わっている。ライセンスブランドから有名百貨店、セレクトショップ、専門店などのOEMや別注企画まで幅広く手掛けてきた。

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