意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは

ヨーロッパでは春夏用としてメジャー

「起毛革」と呼ばれている素材は、銀面、または裏面をサンドペーパーなどの研磨材を用いて起毛させた革です。独特の毛羽だった風合いは繊細な印象があるだけに、スムースレザーなどとは違ってお手入れが大変そうなイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回は起毛革でできた靴のお手入れ方法をご紹介します。

まずはスウェードとヌバックの違いについて簡単に説明したいと思います。そもそも革というものは、ティッシュのように繊維が複雑にからんでできています。それを起毛させているのがスウェードやヌバックなのですが、2つの違いは革の「表面」を加工しているか、「裏面」を加工しているかです。
革の表面を加工しているのがヌバックで、裏面を加工しているのがスウェードです。ヌバックは目が細かくて毛足が短いのに対し、スウェードは毛足が長いという特徴があります。どちらの革も、素材自体に撥水効果があり、ヨーロッパでは雨の日用の素材としてポピュラーです。また日本では、スウェードやヌバックは秋冬用というイメージが強いですが、通気性がよく蒸れにくいため、ヨーロッパでは春夏用の素材としても用いられています。


ブラシで毛を起こし、生ゴムで汚れを取る

さて実際のお手入れですが、スウェードでもヌバックでも、メンテナンス方法は同じです。起毛革の靴をはいていると、傷のように見える部分が出来てきますが、これは傷ではなく、毛羽立たせている毛が寝てしまっただけなのです。ですからお手入れする際は、毛を起こしてあげることが大切です。このとき使用するのが、ワイヤーブラシ。タテヨコナナメ、いろいろな方向から毛を起こすようにしますが、ポイントは色が濃くなるほうに毛を起こしてあげることです。

意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは

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充分に毛を起こすことができたら、今度は汚れを取り除く作業です。今回は「生ゴム」を使います。生ゴムは油を吸着する性質があり、しかも素材を痛めないので安心です。

意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは

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専用スプレーで鮮やかな色が甦る

汚れを落とすことができたら、仕上げに入ります。起毛革の靴は履いているうちに色が抜けていくものですが、起毛革専用ミストをスプレーしてあげることで、革の色が戻るとともに、しっとりとした風合いになります。スプレーしただけではミストが毛の上に乗っかっているだけなので、しっかりブラッシングして革の中に浸透させていきます。そして総仕上げとして、防水スプレーを吹きかけて完了です。

意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは

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意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは

向かって左側がお手入れをした靴です。右側に比べると毛が起きていて、革の色が戻っているのがわかります。難しいイメージのある起毛革のお手入れですが、10分もあれば簡単にできますので、定期的にメンテナンスして靴と長く付き合いたいものです。

意外と簡単! スウェードやヌバックのお手入れ法とは


取材先
株式会社コロンブス
1919年創業の老舗靴クリームメーカー。靴クリームの専門メーカーというのは、世界的にみてもめずらしい存在。メイドインジャパンにこだわり、品質の高い商品を世に送り続けている。なかでも2008年に立ち上げたブランド「Boot Black」が人気。

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