"反逆"を身にまとえ――。

革(レザー)に意志を吹き込んだ銀幕のライダース

映画、音楽、小説、漫画......"男の物語"が在るところレザー在り――。
「レザー」が放つマテリアルとしての魅力の源泉を、さまざまなフィクションを通して探る本シリーズ。第1回は映画『ザ・ワイルド・ワン(邦題:乱暴者)』で主演のマーロン・ブランドが着用し、一躍男らしさを象徴するファッションアイテムとして脚光を浴びることになった「ライダースジャケット」をクローズアップ。 革がいかにして私たちを魅了する特別なものとなったかを探ってみましょう。


銀幕の "アンチヒーロー"は革をまとって現われた

銀幕の

1950年代から約半世紀にわたり数々の映画に出演し、「20世紀最高の俳優」とも称されるマーロン・ブランド。代表作のひとつ『ゴッドファーザー』(1972年)では、NYマフィアのボス、ドン・コルレオーネを演じアカデミー主演男優賞に輝く......も受賞を拒否するという顛末は映画ファンならずとも知るところ。
そんな彼がハリウッドスターとしての地位を不動のものにしたのが、1953年公開の『ザ・ワイルド・ワン』(邦題:乱暴者)です。
カリフォルニア州の街、ホリスターを暴走族が占拠したという実際の事件をベースに、2つの暴走族による抗争を描いたこの作品では、若き日のマーロン・ブランドによる瑞々しい演技が見どころですが、もうひとつファッション史的に重要なものがマーロン演じる"ジョニー"ら暴走族のファッションも注目です。
トップスはダブルのライダースジャケットでかため、ボトムスはリーバイス501XX、そしてロールアップした足元からはエンジニアブーツがチラリ。
このいわゆる"バイカーファッション"は、ジーンズがまだカジュアルとして市民権を得ていなかった当時の観客に衝撃を与え、映画自体の暴力的な描写もあいまって、イギリスでは長らく上映中止になるなどセンセーショナルなものでした。


謎を呼ぶライダース。Schottか?それともDurableか?

銀幕の

ところで、『ザ・ワイルド・ワン』でマーロンが着たレザージャケットのブランドについては諸説あります。
ひとつは、今日のライダースジャケットの代名詞にもなっているSchott(ショット)社のライダースジャケット、「Perfectoシリーズのワンスター」であるという説。
Schott社は1913年、ニューヨークでアーヴィン・ショットとジャック・ショットの兄弟が立ち上げたレザーファクトリー。創業当初は主にレインスーツを作っていましたが、1928年に世界で初めてフロントジッパーを採用したライダースジャケット"Perfecto"シリーズを発売。現在に伝わるライダースジャケットの原型を作りました。
そしてもうひとつの説が、Durable(デュラブル)社の「One Star Riders」であるという説。
なぜこのような食い違いが起こったかは定かではありませんが、おそらくは後年、「ワンスター」という名前が独り歩きして喧伝された結果、よりメジャーなSchott社の「ワンスター」がクローズアップされ、結果、"ワンスター=Schott"という誤解が生じたのではないかと推測します。
ちなみに、熱心なレザーマニアの間では「Durable説」が有力なようです。


レザーはタフでアウトローな男の"ユニフォーム"へ

レザーはタフでアウトローな男の

さて、『ザ・ワイルド・ワン』によって確立したライダースジャケット=アウトローファッションの方式は、映画の枠を飛び越えてさまざまなジャンルへ波及していきます。
そのなかでも大きなターニングポイントだったのがファッションとの親和性が高いロックミュージックとの邂逅でしょう。
1974年にニューヨークで結成されたパンクバンドの祖、「ラモーンズ」はその代表格。ライダースジャケットにダメージドジーンズを合わせたファッションは現在においてもパンクファッションの象徴的なスタイルとして定着しています。
そんなラモーンズのスタイルが、大西洋を越えて"飛び火"したのがロンドンパンクのアイコン「セックスピストルズ」であり、ジョー・ストラマー率いる「ザ・クラッシュ」。 反体制とアンチ・コマーシャリズムを貫いた彼らもまた、自らのアイデンティティをアピールするかのようにこぞってライダースジャケットをまとっていきます。
以降、ライダースジャケットはライダーとパンクスのアイコンとして、現在もなお象徴的なファッションアイテムとしてあり続けているのです。


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