「数十年先まで、一緒に」美しさの中に機能性を隠し持つWHEEL ROBEの革靴たち

これまでWHEEL ROBEのモノづくりへの思いについて、じっくりとお話を伺いました。最後は、その思いが込められているWHEEL ROBEのアイテムの紹介をさせていただきます。


「#314 Last」プレーントゥ

「数十年先まで、一緒に」美しさの中に機能性を隠し持つWHEEL ROBEの革靴たち

「これって、贅沢取りと言われているんです」とプレーントゥを見つめる工藤さん。
一枚革で仕上げられたプレーントゥは、見た目の美しさもさることながら、足へのなじみも抜群。
プレーントゥの木型となっているのは、「#314 Last」。1940年代のサービスシューズをベースにした木型です。そして、ラバーソールは同じく1940年代から流行したCAT'S PAW。
この二つを選んだ理由を、工藤さんはこう語ります。
「もともと、見た目のフォルムがこういう感じだといいなというのがあったんです。で、それがたまたま40年代の、たまたまサービスシューズだったんです。それでさらに、40年代から50年代でブーツに流行っていたCAT'S PAWのヒールが使いたくて。そしたら、工場の方がCAT'S PAWを"持ってる"と言うので"じゃあ使わせて"とお願いしました」
果たして、このプレーントゥは、WHEEL ROBEのブランドにとって、最初の一足になったのです。木型、デザイン、製靴、そして、完成品を自分で履くこと――このプレーントゥが、リスタートしたWHEEL ROBEにとっての"初めて"でした。
「自分たちのフィーリングに合ったデザインと、使いたかったソール。すべてがマッチしたような感覚でした。今でも特別な一足です」
「まあ、実際はほぼほぼ違った形になってます」と工藤さんは笑った。
ベースとなった靴は細い作りだったため、そこから日本人の足型に合わせて木型をつくり込み、今の姿に落ち着いたそうです。
「#314 Lastの木型はアッパーに結構ボリュームがあるように見えるんです。それで一枚のアウトソールしか貼ってないと、ボリュームに対してソールが薄くどうしても華奢でアンバランスに見えちゃうんですね。なので、#314 Lastの木型に関しては、すべてアウトソールとミッドソールを組み合わせたダブルソールにしてます」
ダブルソールの仕様は分厚く頑強な一方で、返りが悪く、歩きづらくなるというデメリットがあります。しかし、WHEEL ROBEのダブルソールは、中間のミッドソールの部分に複数の切れ込みを入れており、返りが改善され、歩きやすくなるように工夫がされています。


「#1228 Last」モックトゥ

「数十年先まで、一緒に」美しさの中に機能性を隠し持つWHEEL ROBEの革靴たち

「#1228 Last」の木型のベースは少し変わっていて、なんと整形外科の矯正靴なのです。
「靴を履いてないような感覚に陥るくらいのフィット感がほしくて」と工藤さんは言います。
「矯正靴ってもともと、足に不自由がある人が履く靴になるんですけれど。たとえば、ハンマートゥという足の指が曲がってて、厚みが出ちゃう人が履く靴だと、つま先にゆとりがある作りになっています。その他に、土踏まずを支えるように絞られているアーチ部分であったり、土踏まずからつま先にかけてが内側にぐいんと振ってあったり、工夫を凝らした仕様になっているんですよ。そういった部分を踏襲して日本人の足型に合うような木型を成形してもらおうと思って」
「#1228 Last」は、歩きやすさ・フィット感を追い求めた木型なのですね。
ボリューミーでどっしりとした「#314 Last」に比べて、平ための「#1228 Last」はノーズの部分がシュッと伸び、丸みを帯びたトゥとデザインが相まって、よりエレガントな印象を与えます。
「#1228 Lastはモックトゥやローファーと相性がよくて、すごくキレイなフォルムになるんですよ」と、手に持ってぐるぐる。この結果は工藤さんも驚いたのだとか。
ぜひお店でWHEEL ROBEのモックトゥを手に取ったら、360度回してこのフォルムを楽しむことをおすすめします。


WHEEL ROBEブランド初のオリジナルスウェード

「数十年先まで、一緒に」美しさの中に機能性を隠し持つWHEEL ROBEの革靴たち

2016年に、WHEEL ROBEはブランド初のオリジナルスウェードを発売します。
コンセプトは「経年変化が楽しめるスウェード」!
みっしりと細かいスウェードは、豊かに含まれるオイルの質感がにじみでており、まるで濡れているかのようにも見える上品なツヤがあります。
「経年変化が楽しめるスウェードって、あんまりないんですよ。ただ汚れていくというものが多いですね。オイルを入れることによって、多少ですが撥水性や防汚性の部分で強くなっていますし、履いていくうちにオイルが抜けて革の表情が変わってくるのは面白いと思います」
「もともと、秋冬はスウェードでやりたいなというのがあったので」とさらりと語る工藤さんですが、今回のスウェードはWHEEL ROBEオリジナルレザーなのです。
「アメリカやイギリスの会社の革も使えるという話をしていたんですけど。実際に見てみたら、上品すぎたりラフすぎたりして、ピンとこなかったんです。だったらオリジナルでつくってしまおうと」
オイルを配合したのは工場の方だそうで「イメージだけ伝えたら、すぐつくってくれました」とにっこり。
文字通りに一足早く、既に履いている工藤さんのスウェードブーツは、履きジワがなじみ、その上にオイルが走り、見事な経年変化を見せていました。 手入れについては「油分が抜けて行っちゃうので、補うのにミンクオイルのスプレーとか、かけていただければ」とのこと。
残念ながら紹介できる数には限りがあり、今回は代表的なプレーントゥとモックトゥ、そしてブランド初のオリジナルスウェードをご紹介しました。 ベーシックなデザインを守りつつも、このほかにステッチを変え、ソールの色を変えと、実は多彩な革靴を生み出しているWHEEL ROBE。もしかしたらあなたの未来の相棒も、ここに眠っているかもしれませんね。


お話を伺った人

お話を伺った人
工藤類さん
1987年生まれ。東京の下町、向島・浅草で生まれ育ち、父親の影響で幼少の頃から洋服や靴に興味をもつ。2010年より(有)トライ・アップに入社。2011年より(有)トライ・アップにてWHEEL ROBEをスタートさせる。

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